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食とは
「食の問題」と言った場合に何を思い浮か べるだろうか。最近、中国からの輸入野菜に 農薬が多量に残留していたと報道されていた。 そういうような食べ物の安全性の問題だろう か。生活習慣病の増加に伴って、伝統的日本 食が見直されている。そういうような食事の メニューの問題だろうか。いずれにしろ、「何 を食べるか」という問題であって、「いつ、ど の位、どう食べるか・食べないか」という問 題にはなかなか至らない。とにかく「何」に 関心が向かっていて、「どう」への関心は薄い。
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食とは(二) 医食同源の裏表
「医食同源」という言葉がある。大辞林に は「病気の治療も普段の食事も、ともに人間 の生命を養い健康を維持するためのもので、 その源は同じであるとする考え方。‥」とあ る。中国の古くからの思想を表す言葉として、 盛んに民間療法の宣伝に使われている。しか し実際には中国での「薬食同源」という言葉 が日本で変えられたものであるらしい。
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食とは(三) ミカンは健康的か
「ミカンは健康の為に食べた方が良いか」 と問われたら、どう答えるだろうか。「何を言 っているんだ。おいしいから食べるんだよ」 と私は答えるだろう。食は食であって、医や 薬ではなく、食には食の仕方があり、役割が ある。ミカンにしろ何にしろ、どう食べるか で、健康にも不健康にもつながるのである。
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食とは(四) エレガントな化学物質
自らの食を含めた生活を省みず、「健康に 良い」と特定の食品に走る人が多いのに比べ て、農薬や添加物等が使われた、不自然で不 健康な食品を避けようとする人はまだまだ少 ない。化学物質による影響が食べてすぐ現れ るものではなく、期間を経て、しかも他の要 因と重なって現れるものであるからだろう。
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食とは(五) 続・エレガントな化学物質
前回取り上げた花王のエコナが高価格にも かかわらず売れているという。「健康の為」の 不自然な食がまた拡がっている。 食に対する不自然な操作は、前回の中日新 聞の言葉を逆の立場で借りれば、より「エレ ガント」になってきている。農薬の残留や、 加工食品への化学物質の添加は分かりやすい。 ところが遺伝子組み換え食品やエコナのよう なものは、素人が真似しようにも作れそうも なく、白衣の専門家が実験室で作るようなも のに思える
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食とは(六) 冷えていないビールを下さい
十数年前、中国を旅した。5月から3ヶ月 程、南西地域を巡って、チベットからネパー ルへ抜けた。暑いので、夜は食堂へ入ると、 先ずビールを頼んだ。一般の食堂の為かもし れないか、どこでもビールは冷やしてない。 ヨーロッパからの旅行者にもたくさん出会っ たが、彼らが冷えているかを気にしていない ということが印象に残った。「冷えていない ビールなんて、ビールじゃない」という思い が当時の私にはあった。
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食とは(七) 続・冷えていないビールを下さい
最近、エスプレッソビア(新潟麦酒)とい うのに出会った。もうギネスを選ばなくてい い。冬は純米酒の燗酒が一番だが、時にはこ ういうビールを飲むのが楽しい。 いわゆる冷え性は《冷えのぼせ》状態で特 に冷が大きい状態である。《冷えのぼせ》状態 というのは、胃腸周辺の循環が悪くて冷え、 本来からだに一様にあるべき熱が分離し、上 部が熱く、下部が冷えた状態である。その上 に全体の発熱量が少なかったり、下部の冷が 大きいのが冷え性である。熱を正常に循環さ せる機能が落ち、発熱に必要な栄養的な条件 が整っていないと考えられる。
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食とは(八) 花粉症とイラクと食と
花粉症の季節も一応終わろうとしている。 年々かかる人が増えている。様々な理由が言 われているようだが、私は大きな要因として 冷えの文化の浸透をあげたい。 「花粉が悪い、杉を切れ」などと言う人が いる。花粉が少なくなるように薬剤を杉に注 入するという研究もあるようである。浅はか としか言い様がない。問題があるのは花粉症 の人自らであり、そうした人を生む現代日本 の文化である。杉を切ったところで、《冷えの ぼせ》を悪化させる不摂生をやめなければ、 今度はヒノキの花粉に反応したり、ハウスダ ストに反応したり、化学物質に反応する〈か らだ〉になっていく。自らが敵を作り出して いるのである。杉を異常に多数植林した政策 の問題や化学物質の蔓延という問題もあるの は言うまでもない。
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食とは(九) ゲップと美学
私は四年程前まで東京にいた。「鍼灸によ るいやしの道」を指導する師の道場が筑波山 麓にあって、月に一回、接心が行なわれ、私 は毎回参加していた。接心とは言わば坐禅会 のことだ。 坐禅が始まるとしばらくして、場内にはゲ ップとオナラの音が響きわたる。これは大げ さだが、少なからず聞こえて来る。滞ってい た胃腸が動き始めたわけである。もともと良 く動き滞っていない胃腸の場合にはそれ程で はないが、滞り飲食物の残渣を抱えている胃 腸では盛んにゲップやオナラが出てくる。そ れがひとしきり続き、収まってはじめて坐禅 の次の段階に入るわけである
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食とは(十) 毒性と親和性
最近、食の分野に限らず、化学物質の危険 性に関する警鐘を「煽動」と評して、化学物 質蔓延の現状を肯定するかのような論評を目 にする機会が多くなった。そうした論評は以 前の論評とは様子が違っている。そこでは、 《絶対に安全なものはない》《天然物にも毒 性がある》《専門家が充分にチェックしてい る》等の論理が用いられ、「毒性がある/な い」論争を避け、「毒性と言っても大したこと ない」と主張する。しかも、食の安全を気づ かう消費者の側に立っていると自らは思って いるような人がこういう論評を書いているの である。そこに私は問題の根深さを感じる
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食とは(11) 石鹸と合成洗剤
前回問題にしたような論評が「石鹸と合成 洗剤」の問題についても出ている。 『石けん・洗剤 100 の知識』(以下、『知 識』)では、「その特質を正しく理解して、自 分の生活に合った取り入れ方をしていただけ ればよいのではないでしょうか?」と結論し ている。圧倒的に合成洗剤が多く使われてい る現状にあっては、問題をあいまいにし、合 成洗剤の使用を更に拡大する役目をする。中 立を装いながら、決して中立ではないという ことである。 おそらく誠実な「科学者」たちが、こうし た論評を書いてしまう根本の原因は、科学者 でありながら、科学的知識を客観的にとらえ ていないということある。科学を道具として 使う、言わば「哲学」が必要であり、本当の 科学的判断とはそこからなされなければなら ない。
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食とは(12) 続・石鹸と合成洗剤
「石鹸と合成洗剤」の問題を文明のあり方 につながるものと考えられないのは、その枝 葉末節のみを見て、その根本を見ていないか らである。 紀元前 3000 年、ローマ時代の初期にサポー の丘でいけにえの羊を焼いて神に供える風習 があった。したたり落ちた脂と木灰(アルカ リ分)が混じって自然に石鹸ができた。この 史実に限らず、山火事などがあれば、逃げ遅 れた動物の脂と木灰が反応して、石鹸が自然 にできる事は想像に難くない。石鹸、つまり 化学的な名前としての脂肪酸ナトリウムや脂 肪酸カリウムは自然に存在する化学物質であ る。現在、人類はそれを真似て、人工的に「化 学物質」として作っているわけである
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食とは(13) 「無農薬」「有機」という言葉
今は昔。1984 年頃、高度管理社会を描い たジョージ・オーウェルの未来小説『1984 年』が話題となった。その管理社会では言 葉が制限されていたというのが特に印象に 残っている。 言葉の問題は小さくない。日常でも言葉 の使い方によって、人は傷つけられる。魅 力ある宣伝文句によって、商品の売上は倍 増する。法律は権力を背景に言葉を規制す る。
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食とは(14) 「無添加」という言葉
いわゆる自然派で食や暮らしの安全に配 慮するする人にとって「無添加」という言葉 も、「無農薬」「有機」とともにキーワードに なっている。しかし、この言葉は「無農薬」 「有機」というよりも更にあいまいである。 「化学物質無添加」「着色料・保存料無添 加」というように何が無添加なのかが明示さ れていれば分かるが、ただ「無添加」とある 場合がある。
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