人は自然の中に発生し、自然に適応して形作られてきました。現代人が多くの人工的環境の下で生活しているといっても、人という生物の長い歴史から見れば、ほんのわずかな期間でしかありません。
スペースシャトルが当たり前の時代になり、インターネットで世界が結ばれる時代になっても、人は自然の一部であることに変わりありません。そして人のからだは、発達した現代の科学技術でも及びえない複雑な仕組みを持っています。
「健康の為には○○が良い」という科学的と称する情報に右往左往するのではなく、自然との調和という観点から生活を見直すことが大切です。東洋医学はそういう観点から、からだを観察し、経験を蓄積して来ました。
自然と調和したからだが“まるい”からだです。自然治癒力が最大限に働き、ちょっとしたことでは病気になりません。自然と調和した、生活と治療が、からだを“まるく”します。
斉観堂のマークは、禅の円相です。
心の病も、“からだ”の病に他なりません。実は病気はすべて、少なからず心の病でもあります。カウンセリングのような、心の側面からではなく、身体的側面からの治療をします。そして、心への一鍼を心掛けます。
例えば、熱や下痢という症状は、確かに、何らかの異常があるということであり、その異常自体は悪いことであるわけです。ところが、その異常に対して、からだは熱を出したり、下痢をしたりして、正常に反応し、からだ自身で治そうとしているわけで、そういう意味で、この熱や下痢は良いことであって、熱が出るべき時に出なかったり、下痢をするべき時に下痢しないのは、逆に悪いことなのです。
そうした正常な反応を邪魔する様な処置は、病を内伏させ、体質化させることにつながります。
現代では病気や症状をからだ全体との関連で捉えず、各部分(臓器、筋肉、神経、・・)だけの問題と捉える傾向があります。しかし、実際のからだは、部分部分が複雑に関連しています。例えば、腰痛の場合でも、筋肉だけが問題の場合はほとんどなく、少なからず、内臓等の弱りや異常が母体となっています。
鍼灸・気功等の東洋医学は、西洋医学が生まれる遙か以前からあり、優れた診断・治療体系を持つ医学です。その効果を体験した人に支持され、今も脈々とその技術と知識は受け継がれています。
ある症状に効くツボがあって、そこを刺激するという単純なものではありません。その効果は施術者によって雲泥の差があります。
斉観堂では、救急疾患や感染性の強い病気を除く、からだの異常を治療します。からだの異常は、本人が感じているものだけではありません。昨日まで元気だった人が、今日倒れるのは珍しいことではなく、診察してみれば、その異常ははっきりと現れています。
一回一回、からだが改善して行くのを味わって頂けるでしょう。
例えば、背中を圧してみると、気持ち良かったり、痛かったりとコリを感じるところがあります。そこは“気”が異常になっているところで、他より固くなったり、過敏になっている為、同じように圧しても、違った感じがします。
“気”は味をききわける料理人のように、言わば職人的に磨かれた感性によって感じるものです。
“気”は身体の内外を覆い、流れています。“気”が流れて、臓器が働きます。身体を流れる“気”が滞ったり、少なくなったり、異常になったりすることで、人は病気となり、様々な症状を引き起こします。長い間、そうした異常を放っておけば、身体的な変形が起こったり、病気が慢性化・体質化します。
斉観堂では、その様な“気”の異常を正すことで、症状をとり、病気を治療します。
鍼灸は決して、痛い刺激や熱い刺激によって治療するものではありません。本人が何も感じなくても、からだは反応し、胃腸が動いたり、症状が取れたりします。状況により、刺激量を変えて不快でない施術をします。からだの反応性を見る為に、初回は特に軽い施術となります。灸は補助的に使いますので、嫌な方はおっしゃって下さい。どうしても鍼灸が怖いという方には、気功治療をします。
通常は、前腕(肘より先)・下腿(膝より下)・腹・背・肩・首・頭への施術となります。まくったりして施術できますので、まくり易い服装でお出で下さい。どうしても肌を出したくない場合には、気功治療をします。
頭痛に頭痛薬、胃もたれに胃薬、肩こりに湿布、腰痛に痛み止めの薬、便秘に下剤、膀胱炎に抗生物質、無月経にホルモン剤、・・・。その症状が取れたとしても、一時逃れでしかなく、多くの場合、病気が変化しただけで、別な更に悪化した形でまた現れて来ます。
東洋医学は西洋医学と違い、いつも、からだ全体(体質)をみて治療します。肩こりは肩の筋肉のコリですが、実はからだの深くにその原因があり、他の症状とも関連したある体質を形作っています。そうした体質を踏まえ、急性症状があれば、先ずそれを取り、体質を改善して行くのが東洋医学の治療です。単に症状を抑えるような処置は本当の治療にはなりません。救急・伝染病など非常の場合でなければ、東洋医学が向いています。
カゼを病原菌(ウイルス)だけのせいにしたり、花粉症を花粉のせいだけにしたり、腰痛を動作のせいだけにしたりしていませんか。普通、原因と思われているものは、実はそのきっかけに過ぎません。そうしたきっかけ以前に様々な原因が積み重ねられて、カゼをひきやすい体質、花粉に過剰に反応するアレルギー体質、慢性的な腰痛、その他の様々な慢性病が作られています。
歳のせいだとあきらめたり、太っているせいだとあきらめたりする必要はありません。シップや牽引、局所のハリ・マッサージやただ温めるだけの治療では、なかなか治らないのが当たり前です。痛みを感じさせないだけの薬では、治療にはなりません。背骨に関係する問題がある場合も、筋肉のコリが第一要因となっているわけで、多くの場合、痛みを大きく和らげることができます。後は慢性度合いに応じて治療には時間がかかります。その治療は腰だけでなく、同時に体調を調える治療にもなります。
女性に多い膀胱炎は多くの場合、細菌感染によりますが、繰り返す人が多いのはなぜでしょうか。それは本来、十分な抵抗力がある人ならば細菌が入って来ても侵されないところが、こうした人は、膀胱における抵抗力が落ちているからです。東洋医学では“冷え”と言います。下腹を診ると張っていて圧すと痛く感じる状態になっています。明らかに冷えている場合もあります。つまり“気”が正常に流れていないのです。膀胱炎になった時には細菌を弱め炎症をおさめる治療をし、なっていない時には下腹の“冷え”を治療することで細菌が入っても負けない“からだ”を作ります。
臓器移植など先端医療の話を耳にし、重厚な検査機器を目にすると、現代医学(西洋医学)がいかに発達したかと思います。しかし自分にとって明瞭でつらい症状が病院の検査で分らなかったりします。また院内感染など病院自体が病気の原因となる事件も多く起こっています。以前「健康の為に○○」と言われたことが実は違っていたということも当たり前のようにたくさんあります。西洋医学は一般の人が思う程“からだ”のことを分っていないのです。
今、つらい症状(急性症状)がある場合は、先ず2日に1回ぐらいの集中的な治療を何回か受け、その症状を取ります。その後は週1回定期的な治療を受けて、慢性症状を伴う体質を改善します。3ヶ月以上は続けて下さい。それ程つらい症状がなく、何となく体調がすぐれないような方は、最初から週1回定期的な治療でいいでしょう。忙しい方は、集中的な治療でとにかく今の不調をなくします。1回でも効果はありますが、すっきりさせる為には何回か必要な場合があります。例えば、ぎっくり腰の場合、2日に1回ぐらいで2・3回治療が必要でしょう。